「檸檬」(梶井基次郎)を読んで

読書記録「檸檬」

著者:梶井基次郎

出版社:角川文庫

初版:1925年1月

ページ数:288ページ

 9回目の投稿になります。投稿時間を事前設定できるので、書き溜めることもできるので、自分のペースで書けて良いです

今回は本の紹介になります。梶井基次郎の「檸檬」です。

私は2013年に角川文庫より出された文庫本を持っています。この文庫は、レモンを彷彿とさせる鮮やかな黄色の装丁になっており、そこも好きなところです。

「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)え続けていた。焦燥と言おうか、嫌悪と言おうか…」

えたいの知れない不吉な塊。私の心にもある気がします^^でも、ここ数年はなくなったかな。いや、でも正確に書くとすれば、なくなったのではなく、今はメンタルがとても安定しているので心の中ですごく小さくなっているとでも言った方がいいかもしれません。

20代くらいの頃は、漠然とした将来への不安や、色々考えすぎて疲弊する感覚だったりとか、「不吉な塊」大きかったなぁという印象です。まあ、これからも、何がきっかけで大きくなり始めるかなんてわかりませんが^^

作品の中では、この「不吉な塊」が、果物屋で買った檸檬を握ることで変化していきます。詳細は読んでもらうとして、こういう事を書くと非常に気味悪がられそうですが、書いてみます。

私は、檸檬を読んだ後、不意に試したくなって実際にレモンを買って握ってみたことがあるんです^^

これが、とても素晴らしい経験でした。心地よい冷たさ、皮の上にわずかに感じる湿り気、掌に程よくずしりとくる重み、鼻を抜けるさわやかな香り。

特に重みについては、握った手の先から「不吉な塊」が蒸気になって蒸発していくような心地よい錯覚を覚えました。

今でも、その時の不思議な感情を憶えています^^

あと、この作品の素晴らしいなと思うところは、読んでいて情景がとてもよく浮かぶというところです。

果物屋の描写ですごく好きな箇所があります。

それが「店頭に点(つ)けられた幾つもの電燈が驟雨(しゅうう)のように浴びせかける絢爛(けんらん)は、周囲の何物にも奪われることなく、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ」という箇所です^^

どんな店を想像するかは人それぞれですが、なんとも美しい文章だなと思います。この作品には(というか梶井基次郎の作品は)、情景描写がとても美しいものが多いように思います。

ちなみに驟雨とは、急に降り出す雨、にわか雨のことだそうです。この時期の作品は、読みながら辞書が必要ですね^^

1925年(大正14年)の作品ということですが、梶井基次郎の作品は他の作品も含め、現代の口語に近く読みやすいです。文体も、肺尖カタルや神経衰弱の人が書いたとは思えない、なんとも言えない爽やかさがあって、自分はスラスラ読めます。

「桜の樹の下には」「ある心の風景」などもすごく好きな作品です。短編が多く、どの作品もすぐ読めるので、サクッと読みたい方にもオススメな作家だと思います。

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