カテゴリー: 読書記録

  • ♯117 読書記録「嫌われる勇気」②

    読書記録「嫌われる勇気」

    著者:岸見一郎・古賀史健

    出版社:ダイヤモンド社

    初版:2013年12月

    前回に続き、アドラーです^^

    前回までは「課題の分離」「何があったかではなく、どう解釈したか」「他者と比較しない勇気」などについて、本を基に私の考えなどを書いてみました

    今回はその続きです

    ・「ほんとうの自由」とはなにか

    アドラーは「自由とは、他者から嫌われる事である」と言いました

    これは、わざわざ嫌われるような生き方をしろとか、悪行を働けと言っているのではありません

    あなたが誰かに嫌われているという事は、それはあなたが、他者にどう思われるかよりも先に、自分がどうあるかを貫いている証拠である

    つまり「自由に生きている証」であると

    いやー、その通りですよね^^

    人それぞれ考え方や趣味嗜好は違います

    Aさん、Bさん、Cさん…全ての人に嫌われないようにするためには、それぞれの考え方に自分を合わせる事が必要であり、それってもう「自分がない状態」ですよね

    他者からどう見られるかという事ばかりを気にするという事は、自分の人生を生きていない事になるし

    「気にする」という事こそ、自分が傷つきたくないという自己への執着につながっているのかもしれません

    だって、関係が壊れる事だけを恐れて他者と関わるのは、心理的安全性がないというか、すごく不自由な感じがします

    そのパワーバランスを、その人と一生続けるの?って思っちゃいますし^^

    本のタイトルでもありますが、この「嫌われる勇気」こそ、評価の軸を他者から自分へ取り戻す事なのかもしれません

    ・「横の関係」

    アドラーは「叱ってはいけない・褒めてもいけない」と言いました

    「よくできたね」「すごいね」

    こういう褒めるという行為には「能力のある人が、ない人に下す評価」という側面があると

    褒めたり叱ったりするのは、アメを使うかムチを使うかの違いでしかなく、背景にある目的は「相手を操作すること」であると

    アドラーはこのような縦の関係を否定し、横の関係、つまり意識の上では対等であるという関係の健全さを主張しました

    このあたり、すごく興味深いです

    叱るのが相手を操作する事を目的とするのは何となく私も理解できます

    でも、褒める事も相手を操作する事につながるというのは、すごく新鮮な価値観でした

    でも、これを読んでなるほどなと思ったのは、大学で勉強した「支配と社会心理(うろ覚え^^)」みたいな内容です

    ヒトラーは、ナチスドイツ政権下で、聴衆に対して時にはドイツ人の優越さを説き、時には現状のダメさをこっぴどくこき下ろし、洗脳といっていい熱狂状態に陥らせ支配しました

    この「褒めたりダメ出ししたり」の振れ幅を大きくするのも、縦の関係に基づく支配の1つなのかなと思ったり

    横の関係とは、「それはあなたの課題」と課題の分離をした上で、できることを一緒に考える

    そして、課題に立ち向かい、行動に移す勇気を持たせる

    これをアドラーは「勇気づけ」と呼んで、自身の個人心理学の最も重要な概念としたようです

    他者の課題に介入したり自分も背負ったりするのではなく、あくまで行動するのは相手、私はその勇気づけをする存在であるという事なのかなと思ったりしました

    これを読んで、私も横の関係を意識した人間関係を作っていきたいなと思いましたね^^

    いや、この資本主義が君臨する世の中、たぶん普通に生きていれば縦の関係になると思うんですよね

    「ありのままのあなた」の存在自体をお互い認め合った上で、それぞれの課題に対してできる事を考え、それぞれが行動する

    そんな関係性を築ける人に出会えたらいいなと思いますね

    あ、出会えたらいいなだと他責っぽくなるから、自分が実践していけばいいんですね^^

    今日も長くなっちゃったんですが、まだ

    「自己肯定」ではなく「自己受容」

    「信用」ではなく「信頼」

    こんな内容も残ってまして、もう少し書いてみたいと思っています

    という事で、次回もアドラー紹介にお付き合いください^^

    全くの別件ですが、いよいよ明後日、北海道マラソンに挑戦してきます

    1月からコツコツ努力を重ねたひとつの集大成

    昨日、最後の練習を終え、体調はすごくいいです

    しかも、当日の天候も「曇り・最低16度、最高24度」という、願ってもないくらいの最高の天気になりそうです^^

    まずは完走ですが、4時間30分切りという目標目指して、精一杯頑張ってきます!

  • ♯109 読書記録 江戸川乱歩「人でなしの恋」

    読書記録「人でなしの恋」

    著者:江戸川乱歩

    出版社:創元推理文庫

    初版:1926年10月

    109回目の投稿になります

    あなたは、幼少の頃から手放さず、ずっと愛着を持っていた物や人形はありますか?

    どちらかと言うと女性にその割合は多いのかもしれませんが、私にもありまして、それは「タオルケット」です^^

    しかも、新品じゃなく、使い古して洗濯を何度もして手ざわりがケバケバになったやつです^^

    ちょっと変態っぽい感じになりましたが、そのケバケバをさすっていると安心するんです

    「急にお前の癖(へき)を語り出してどした?^^」と思われたかもしれませんが、今回紹介する「人でなしの恋」のお話の肝が、まさにこの「愛着のある人形」なのです

    話は、京子という19歳の女性が、門野(かどの)という男に嫁入りした所から始まります

    門野は「家に引っ込みがちで女嫌いという噂もあり」、京子は心配していたが、門野は京子に優しく、しばらくは「夢のような新婚生活」を送ります

    しかし、半年ほどたった頃から京子は違和感を抱きます

    夜な夜な離れの土蔵に行く門野

    浮気相手がいるのではと、こっそり後を追う京子

    そこで、門野が愛していたのは…

    この先、書いちゃっていいんでしょうか?^^

    まあ、核心に触れない程度なら大丈夫でしょう^^

    門野が愛していたのは女性の人形でした

    「私は京子を愛そうと努めたのだけれど、悲しい事に駄目なのだ。若い時から馴染みを重ねたお前の事が、どうしても私にはあきらめ兼ねるのだ」

    と人形に語りかける門野

    京子は悲しい思いを抱きつつも、門野の苦悩も理解しようとして話は終わって…

    いかないんです^^

    「さて、私の懺悔話と申しますのは、実はこれからあとの、恐ろしい出来事についてでございます」

    江戸川乱歩の小説でゾッとするのは、終盤でこの「実は」という表現が出てきたときです^^

    これ以降の内容は書きませんが、私は京子の気持ちもわかるし、門野の気持ちもわかるしで、読み終えてすごく複雑な感情になりました

    こちらへお越しの読者様なら、なんとなく結末が想像できた方もいそうな気がします

    あと、離れの土蔵の戸に耳をそばだてて中の様子を窺おうとする場面や、夜の描写がとーーーっても緊迫感があって面白いです

    タイトルの「人でなし」も、読み終わるとダブルミーニングになっている事がわかります

    欲求を前にした時の人間の複雑な心理がむきだしに描かれています

    私はこれを23時頃に読んで、ちゃんと眠気が醒めました^^江戸川乱歩、おそろしや

    30分程度で読めるボリュームです

    読者様もいかがですか?面白さは保証いたします^^

  • ♯105 読書記録「いつまでもデブと思うなよ」

    読書記録「いつまでもデブと思うなよ」

    著者:岡田斗司夫

    出版社:新潮新書

    初版:2007年8月

    105回目の投稿になります

    タイトルにもある通り、内容はダイエット本です

    筆者が提唱するのは「レコーディングダイエット」

    食べたものをとにかく記録し、摂取カロリーを把握する

    摂取カロリー<消費カロリーの状態を続けることで体重を減少させていく経過が書かれています

    ちなみに私、183センチの63キロという痩せ体型です^^ダイエットは不要なガリガリな人間です^^

    じゃあなぜこの本を読むのかというと、この本がただのダイエット本ではなく、生き方、考え方の本質を書いている本だと思うからです

    いくつか抜粋して紹介してみます

    ・ダイエットの失敗とは「やせない事」ではなく「続けられない事」なのだ

    →「継続は力なり」ということわざって、その通りだなって最近ホントに実感します。続けられているうちは失敗じゃない的なね^^

    ・ダイエットは、その成功が誰かを傷つけたりしない。誰かの勝ちは他者の負けを意味しない

    →こういう概念好き^^

    ・レコーディングダイエットは、自分の人生をコントロールできる事につながる。自分の成功イメージを持ち、それを実際に変える事でかなり高いレベルの自己コントロールを身に付ける事が可能だ

    →確かにダイエットって成功イメージに自分を近づけていく作業って感じですね。見た目も変化するし、コントロール感を味わいやすいのかも。私が今取り組んでいるマラソン練習も同じ感じかもしれません

    ・カード破産する人は自分の借金の総額を知らない。収入がいくらで支出がいくらで利息が何%かを知らない。記録する事はそれらを可視化する行為である

    →資産形成の本にも同じことが書かれています。まずは現状を正しく把握するっていうのは、どんな事に対しても大事なんですね

    ・レコーディングダイエットが成功できれば、それが様々な副次効果を生む。この自己コントロールというのは、体重管理だけではなく、お金や仕事、人間関係や自分の将来など広範囲の事に応用可能だ。なにかに迷った時、目標があるのにうまくいかない時は、要素を書き出してみよう

    ・悩みや迷いを書いてみる。書き出したからといって、無理に答えを見つけなくていい。文字にして客観的に見られるようにするだけでいい。するとある日、いくつかの悩みが同じパターンであるとか、なにをやらなければいけないかとか、そういう事がわかる日が来る

    ・悩みや問題に、毎日答えなんて出さなくてかまわない。毎日答えが出せるなら、悩んだり困ったりしていない。逃げないで、押しつぶされないで、ただひたすらレコーディングを続けてみよう。なぜそんな問題に巻き込まれたのか?なぜ自分はそれが欲しいのか?レコーディングを続けていると「自分の内面」が見えてくる

    →ね。ただのダイエット本じゃないでしょ^^記録する事で見えてくるのは「自分の内面」だと。つまり、自分自身と対話する事で自己理解が促進され、自分を客観視できるようになり、最終的には自信をもって生きる事につながるのかななんて本を読みながら思いました

    今回は引用が多めになりましたが、ダイエットしたい人にも、悩みがあってそれが大きな毛玉になってこんがらがっている人にも、すごくオススメできる本だと思います

  • ♯96 読書記録「東大うつ」②

    読書記録「東大うつ」②

    著者:西岡壱誠

    出版社:ベスト新書

    初版:2026年7月

    96回目の投稿になります

    前回紹介した「東大うつ」の2回目になります

    前回は、東大に合格して前途洋々に思える学生の一定数がうつを発症するケースと原因について紹介しました

    すごく簡単にまとめると

    ・親の勧めで受検した場合、自分の人生を自分で選び取るという経験がなく、合格後に不安が押し寄せる

    ・受験は数値で成果がわかる。でも入学後は目標や興味を自分で見つけないといけない。正解がない世界に不安を感じる

    ・挫折経験のなさ、評価軸の少なさ、反抗期のなさが、うつになる人に多く見られる傾向

    これが、私にも当てはまるなあなんて思いながら読みました

    今回は「じゃあどうすればいい?自分だけだと無理な時の処方箋」として、うつから抜けたエピソードを中心に、こちらも構造的に書いてみたいと思います

    1 休学する

    受験勉強を頑張ってきた人は、立ち止まらず走り続けてきた場合が多い。それはイコール「自分の人生と向き合う時間が少なかった」のではないかと筆者は言います

    私の経験からも、それはすごく的を射ていると思います

    それまでは「ドラクエ的世界」というか、次のミッションがわかりやすい世界で生きてきました。次は洞窟から○○というアイテムをゲットしてくる、次は○○というボスを倒す、次は~というように

    でも、大学では(40を過ぎた今でも^^)マインクラフトの初期のフィールドに落とされたような感じで、どこへ行っても何を建築しても、または何もしなくてもいいですよとなるイメージです

    そうすると、私のような人は、経験のなさに自信のなさがプラスされて身動きが取れなくなってしまうのです

    筆者は「休学して自分を見つめる事は大切だ」「休学という決断をするということが強さだ」と言います

    休学によって回復できた新倉さんという方が出てきます

    彼女はうつになった時、何もできなかったが、麻雀の動画だけはボーっと見ることができたそうです

    新倉さんは、麻雀に「新しい世界を見た」と感じた

    勝ち負けはその場の手牌と判断で決まり、負けても人格が否定されるわけでもない

    麻雀では「勝負を降りる」のも戦略のうち。今の局で負けても次で挽回すればいい

    人生も麻雀と同じトータルで勝負と思えた時、気が楽になったそうです

    私は、苦しみながら休学しなかった人ですが、40を過ぎるとそれなりに色々な経験を重ねてくるので「人生はトータルで勝負」という感覚は痛いほどよくわかります

    今も、少し優柔不断な所があったり、ささいな事で自信を失いそうになる時もありますが、奮い立たせてくれるのは過去の経験な気がします

    適応障害だった時はすごくしんどかったですが、今は、もしこれから同じ症状の人に出会ったら、良きメンターになれるだろうなという自信があるし

    そういう風に役立てたら、適応障害になった事自体も、今まで生きてきた自分も肯定できそうな気がします

    なんか、熱くなりました^^次行きます

    2 親子仲の回復

    親から子へ「条件付きの愛」しか示されていない場合にうつが起きやすいと筆者は指摘します

    100点だと褒められる、少し点数が低いと顔が曇る

    そのような評価軸な親だと、子は、かけてもらったお金、かけてもらった時間に大きなストレスを感じ、壊れるまで走り続けてしまう

    また、子がうつになる親の特徴としては「子どもを同一視する」という事も挙げられています

    親の人生観を子に投影してしまう。自分が成功していれば自分と同じように、自分が挫折したなら自分のようにはならないようにと、自身の理想を子に押しつける

    もう少し大人になれば、親という存在も客観視できるようになるが、大学生くらいだとまだそれは難しい

    これも、私の事を振り返っても大きいと思います

    私は、自分自身の短所を「減点思考」だと思っています

    今はだいぶなくなりましたが、以前は95点のテストが嬉しくありませんでした

    「あー、5点ミスっちゃった。復習しとかないと」って本気で思ってました

    今思うと「いやいや、正解できた95点分をまずは褒めましょうよ^^」となるんですけど、そういう視座がなかったんですね

    そして、勝手に憂鬱になってました

    でも、それも、人のせいにするのは申し訳ないけど言います

    「母親のせいです」と^^

    母がテストの点数を見た時のリアクションはまさにそれでした

    そうすると、学生でつらくなった時に、実家が「安心して帰れる場所」じゃないんですよね

    私は、そういう育ちだった事もあってか、人と対する時は、その人のいいところを見たいなって思います

    大したアドバイスや正解を語る事はたぶんできないけど、「この人には相談してみたいな」って思ってもらえるような「落ち着ける場所」になりたいなって思ったりします

    また長くなってしまってます^^

    私見ですが、私は、人生で一番大変なのは大学生じゃないかと思います

    高校生までは、衣食住とお金の問題は気にせず勉強してればいい

    就職してからは、稼がなきゃいけないけど、仕事が終わればある程度時間は自由

    でも大学生は、大学での勉強というメインがあって、その他にバイトで生活費を稼いだり、進路や就職を考えないといけなかったり。それに一人暮らしが重なると家事、自炊、行政手続きなどものしかかる

    それはそれはストレス過多で大変な毎日。イヤになったり何かに逃げたくなったりしますよね

    筆者の「終わりに」の文も良かったです

    「あなたが壊れたのは、あなたが弱かったからではない」

    「止まっても、休んでも、あなたの存在は肯定される」

    しんどい思いをしている学生にも、その親にもためになる本なのではと思いました

    私も、この本を読んで、しんどかった大学時代を肯定するという再定義ができました

    いつも長くてスミマセン^^

  • ♯92 読書記録「東大うつ」

    読書記録「東大うつ」

    著者:西岡壱誠

    出版社:ベスト新書

    初版:2026年7月

    92回目の投稿になります

    先日訪れた札幌の書店で偶然見つけた本です

    この本は、軽い気持ちでカフェで読み始める本ではありませんでした。私の幼少期からの生き方、大学時代の憂鬱が書かれていて、危うく泣きそうに^^

    タイトルは「東大うつ」となっていますが、受験勉強を真面目に頑張って、ある程度の大学へ合格した人なら、大いに共感できると思います

    私は北海道の小さな国立大学で、東大とは比べるべくもないですが、たくさんの気付きのある本でした

    タイトルが目を引くように「東大うつ」となっていますが、「大学うつ」として読んでも問題ないと思います

    この本のいいところは、うつになった人を個人の問題とせず、構造の問題としているところです

    そこがすごく救われます

    • うつ発症のケース

    ・受験は、努力が数値として帰ってくる。でも、入学後は「次の目標」がなくなる。「で、次なにをすればいいんだろう?」と思ったら何の意欲もわかなくなった

    ・親の勧めで東大を受験したIさん「自分の人生を自分で選ぶという回路が一度も起動しないまま大人になってしまった私は、初めてその回路を必要とした瞬間に、立ち尽くしてしまった」と回想した

    →すごく良くわかります。私も今思い返すと親の期待を背負わされて、教師を目指すというレールに乗りました

    そうすると、肝心な所で踏ん張りがきかないというか、頑張れない感覚がありました

    どこかで「他責」というか「真剣になれない」というか…

    言語化が難しいですが、自分の気持ちに向き合わず大学生になってしまった感がありました

    第2章 7人のケースから見える「うつになりやすい人の特徴」

    • 挫折経験の少なさ

    勉強という分野で失敗しにくい。これが意味するものは、新しい何かへの挑戦をしなくなるという事。勉強が「失敗しない安全な場所」になる。その結果、挫折経験がないまま東大へ行くことになる

    • 評価軸の少なさ

    勉強ばかりの人は、自分の価値を測る物差しが勉強に一本化されやすい

    大学に入り、就活が始まり、正解が見えなくなった瞬間に「勉強を頑張ってきた自分」という軸が揺らぐ

    そして心が不安定になる

    勉強以外の経験がある人は崩れにくい

    趣味、アルバイト、恋愛、ゲーム、釣り、料理。「勉強以外の場所にも、自分がいていい」と感じられる人は、1つの軸がうまくいかなくなっても、別の場所で呼吸をする事ができる

    • 反抗期のなさ

    成績が安定して良い、学校の先生からも高評価、親のいう事をきちんと聞くいわゆる「いい子」。理想的な成長過程に見えるが、これが落とし穴

    親や先生の期待に応えられる能力があるという事は、自分で考えて選ぶという必要がなかったという事

    小中高時代にうまくいきすぎた結果として、自分で考えて方向転換する訓練、反抗してでも道を変えるという経験を積めなかった

    これに一人暮らしなど環境の大きな変化も重なると、自分がどこに進めばいいのかわからなくなってしまう

    • 就活期にうつが出現しやすい

    高校までの世界は、指標がとても明確。偏差値、順位、合否。どれも「次に何をすればいいか」を数値で教えてくれる

    しかし、大学以降は成功の定義が一気に曖昧になる

    私のように単科大学(教育大学)へ進んだ感じだと、進路の軌道修正は非常に難しいです

    ただでさえ決断した経験が少ないのに、「先生を目指すのをやめる」事は、進路変更ではなく「無」とか「闇」みたいな感覚になりました

    教育実習へ行って、先生に向いてないかもというのはぼんやりわかっているのに、だからと言って他の道も見えない

    「引き返せないところまで来てしまった」感が大学3~4年の時の私の素直な感情だったと思います

    まさに、以前紹介したヨルシカの「ヒッチコック」の心象風景ではないでしょうか

    「そんなの君にしかわからないよなんて言われますか?」ってね^^

    結局私は、30代半ばまで自分を騙しつつ仕事を続け、その後ぶっ壊れる訳ですが^^

    それなら大学時代にぶっ壊れといた方が良かったのか?なんて今俯瞰して見ると思ったり思わなかったりしますね(どっち?^^)

    続きは次回です

    今回の本は、わかる方にはすごく刺さるのではないかと思います。ピンときてない方ごめんなさい^^

    次回は、「じゃあどうすればいい?自分だけだと無理な時の処方箋」として、うつから抜けたエピソードを中心に、こちらも構造的に書いてみたいと思います

    最近、自ら心をえぐられに行っている気がします^^Mなのでしょうか?

    でも、自分を再構築する大事な作業である気がしています

    重い気持ちになった方、ごめんなさい

    もう少し、私の内省にお付き合いください^^

  • ♯88 読書記録「日本一周すると10万円貯まる本」

    読書記録「日本一周すると10万円貯まる本」

    著者:不明

    出版社:日本貯金本普及協会^^

    初版:不明

    88回目の投稿になります

    アホ回です^^

    今回紹介するのは「日本一周すると10万円貯まる本」です

    表紙はこんな感じ

    中を開くとこんな感じ

    500円硬貨を埋め入れる箇所が見開きで20か所、これが10ページ分あるので、全ての穴を埋めきると10万円貯まりまっせという本です

    私、大学生くらいからこれを始めて未だに続けています^^

    私、自己肯定感は低め(最近は高め^^)ですが、この「これと思ったことを淡々と続ける力」はホントに人並み外れてると思います^^

    このブログも、たぶん末永くやっていくと思うので、よろしくお願いします

    一応ルールとしては

    ・500円玉を生み出すような買い方をする

    例えばお会計が600円の時は、1100円出して500円のお釣りを生み出したりします^^

    自販機あまり使わないけど、使う時はあえて1000円入れてお釣りで500円玉ゲットしたり。たまに全て100円玉で返ってきて自販機を見つめ返したり^^

    なにか買い物をして500円玉ができたら「あ、あの本に入れよう」って思って使わないでおく。そして、帰ったら本に入れるみたいなのが習慣化しています

    ・ゴールするまでは取り崩さない

    →無駄にストイック^^

    ・達成したら、その10万円は好きに使う

    →たいていは旅行になりますね。一度10万円の時計を買ってみたんですけど、まったく心が躍りませんでした^^自分が「物欲ないマン」だという事がわかりました。7万円くらいでリセール出来てホッとした記憶があります^^

    実はこの本、埋めきっては取り出し、埋めきっては取り出しを繰り返し、もう20年くらい使い続けています^^

    日本貯金本普及協会さんへ

    もう少し弱く作って、何回か使ったらへたってくるようにしないと、新しいの売れないですよ^^ユーザーとしては嬉しいですけど^^

    500円玉を全て埋めきって持ち上げると、相当ずっしりします。2キロくらいあるんじゃないかな。立派に凶器です^^

    あと、この本を作ったのが「日本貯金本普及協会」って^^

    名前おもしろすぎです^^

    検索したらホームページあって、そこに「両替手数料無料の裏技」とか載ってておもしろい^^

    なんか人生楽しく生きてる人たちって感じがします^^

    最近の悩みは、500円玉貯金のペースが著しく低下している事です

    なぜなら、投資を始めた5年ほど前から私は楽天経済圏で生きるようになったからです

    楽天銀行、楽天カード、楽天ペイ、楽天証券…。キャッシュレス生活が浸透し、本当に現金を使わなくなりました

    使うのは、近所の個人経営の魚屋さんくらい^^

    「日本一周」というコンセプトのため、各ページには、各都道府県の観光地やご当地のフードなどのミニ情報が載っています

    この本を「読書記録」として載せていいのかという葛藤はありましたが、「ま、いっか」という事で^^

    前回が乱歩の「人間椅子」だったので、ライトな物も織り交ぜていかないとね^^

    あなたも500円玉貯金、一緒にいかがですか^^

    ちなみにこの本、表紙をひっくり返すとブックカバーっぽくなります

    「家族にバレずにこっそり貯めたい時にオススメ」だって^^

    しかも、ダミーでうすーく「日本文学全集」って透けるような感じにしてある^^写真で伝わるかな?

    では、また次回です^^

  • ♯83 読書記録 江戸川乱歩「人間椅子」 

    読書記録「人間椅子」

    著者:江戸川乱歩

    出版社:新潮文庫

    初版:1925年10月

    83回目の投稿になります

    今回は、江戸川乱歩の「人間椅子」を紹介します

    この作品は、「江戸川乱歩傑作選」という初期の9編の中の1つです

    江戸川乱歩の作品は狂気に満ちていて、読んでいてゾクゾクしてきます^^

    ホラー的要素もありますが、「お化けが出てきてキャー!」的な恐怖じゃなくて、「え、これヤバ…」みたいなジワジワ来る恐怖なんです

    語彙力なさすぎて伝わってないかもです^^

    物語は、特殊な性癖を持つ男が、その性癖をある女性に話す形で進んでいきます

    その性癖とは「椅子の中に入り込んで、人の体の重みを感じる事」

    ね、ヤバいでしょ?^^

    それを、その椅子の持ち主である女性に手紙という形で男が語りかけます

    先ほど説明した「お化け的恐怖」ではない「ぞわっとする恐怖」の感じ、わかっていただけるのではと思います

    そして、この作品をさらにヤバくしているのが、男の語り口です

    すごく丁寧で、紳士的なんです。それがまた、気味悪さ倍増といいますか^^

    少しだけ紹介してみます

    「私は、彼女が私の上に身を投げた時には、できるだけフーワリと優しく受けるように心掛けました。彼女が私の上で疲れた時には、わからぬほどにソロソロと膝を動かして、彼女のからだの位置を変えるようにいたしました。そして、彼女が、ウトウトと居眠りを始めるような場合には、私はかすかに膝をゆすって、ゆりかごの役目を勤めた事でございます。」

    「薄いなめし革ひとえ隔てて、肌のぬくみを感じるほども密着しているのでございます。それにもかかわらず、彼女は何の不安もなく、全身の重みを私の上に委ねて、見る人のない気安さに、勝手気儘な姿態をいたしております。私は椅子の中で、彼女を抱きしめる真似をすることもできます。その豊かな首筋に接吻する事もできます。そのほか、どんな事をしようと、自由自在なのでございます。」

    はい、ヤバいですね^^

    これを読む女性の立場で考えると、恐怖以外ありませんね

    でも、これを書くと私も変態になってしまうのですが、私も「重み」好きなんですよね^^

    あ、もちろん、椅子には忍び込みませんよ^^でもね、前にも書いた記憶がありますが、掛け布団を信じられないくらい重ねて寝るし、なんなら人に乗っかってもらいたいです^^

    ま、匿名のSNS空間だから言える事ですね

    作品に戻りますが、この本は、2通目の手紙がオチになっているのですが、そのオチも秀逸です

    24ページなので、1時間もあれば読めます。また、この「江戸川乱歩傑作選」には、「心理試験」「芋虫」「鏡地獄」などゾクゾク系で私が大好きな作品がたくさんあります

    眠れない夜に、乱歩、いかがですか?余計寝れなくなるかもしれないけど^^

    ↑何度も読んでるので、表紙がボロボロ^^

  • 読書記録「いい人すぎるよ図鑑」

    読書記録「いい人すぎるよ図鑑」

    著者:円城卓・佐々木日菜・真子千絵美

    出版社:PHP

    初版:2024年3月

    74回目の投稿になります

    先週の読書記録では、朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」を紹介しました

    そして、次回もその続きを紹介しますと言っていました

    ですが、予定変更します^^すごくいい本に出会ったので順番を変更します

    「イン・ザ・メガチャーチ」は、自身の「得体の知れない不吉な塊(by梶井基次郎『檸檬』^^)」に向き合わざるをえず、絶対重くなるので、一回明るいのを挟んでおこうかと^^

    今回紹介するのは「いい人すぎるよ図鑑」です

    2023年に各都市で「いい人すぎるよ展」を開催したことから作られた本みたいです

    ちなみに、「いい人すぎるよ展」は、チケット30000枚が完売したそうです

    この本、ヤバいです^^

    泣ける要素は特にないはずなのに、とっても泣けてきます

    私という人物を真っ向から受けとめ、肯定し、支えてくれる本です

    優しくて、でも優しすぎるがゆえに気を遣いすぎ、少し心が疲れているそこのあなた

    あなたです^^あなたにぜひ読んでほしい本です

    少し内容に触れます

    • すれ違うとき「あともう少しですよ~」と励ます、下山している人
    • レジ会計でイヤホンを外す人
    • 缶コーヒー、微糖と無糖を両方買ってきて選ばせてくれる人

    →この3人、絶対いい人でしょ^^私、バスの運転手してますので、イヤホンの人は特に共感できます。外さなくても清算は成立します。でも、イヤホン外す人は100%「ありがとうございました」って言うし、こちらからの「ありがとうございました」を聴く姿勢もちゃんとある。つまり、目の前の人を気遣い、コミュニケーションを大切にしている人ということがわかります

    • 1人でご飯を食べる時も、小さく「いただきます」をする人
    • 学校で後ろの席にプリントを配るとき、必ず振り向いて渡してくれる人
    • 「さっき何か言おうとしていましたよね?」と話を戻してくれる人

    →この3つは、私が自然とやってることなんです^^

    「いただきます」は、おばあちゃんのしつけですかね^^

    プリントは、自然にやってました。あと、すごく細かい事なんですが、書いてみます。

    例えば私が列の後ろから3番目の時、私の所にまわってきた時点であと2枚。つまり1枚足りない状況

    その時、私はその2枚をそのまま後ろに渡して、自分が「1枚足りないでーす」って取りに行っていました

    それは、「いい事だからやっていた」というよりも、「後ろの人が取りに行くと、なんか心がモヤっとする」という感覚が正確かもしれません

    この本には、上記のような私の心の中の想いも、解説に全て記載されていました^^

    「さっき何か言おうとしてましたよね?」については、なんでかわからないけど、相手と話していると気づく瞬間があるんですよね^^

    「あ、今、話したい事をのみこんだな」って

    たぶん、私も「言おうと思ったけどやめる」事がしばしばあるから、相手のそれも気づいちゃうんだと思います^^

    でも、最近は「のみこんだって事は本人が話すのやめたって事だから、聞かないのも優しさなのかな」とも思います

    本には、こんな感じの「いい人」が100人出てきます^^

    本の途中にコラムがあります

    そのタイトルが「いい人を見つけると、自分がいい人だと気づく」です

    こんな記述があります

    「きっと、この図鑑の中には『なんだこんなの当たり前じゃん』と思うものもあると思います。それは、あなたがいい人だからです」

    「いい人に気付けると、自分自身の『いい人』な部分にも気付けて、自分のことをちょっと好きになれたりするかもしれません」

    いやー、泣いちゃうからやめてほしいですね^^

    自分が当たり前にやっている事、もしくは、相手に気を遣いすぎて逆に反省したりする事をこの本は全肯定してくれます

    私は、この本に共感できる人に会いたいです。そして、友だちになりたいです

    でも、たぶん私含めそういう人は「私、いい人です」アピールなんて絶対しないだろうから、会えないんだろうな^^

    私は、もし自分の身近な人が自分に自信を持てなかったり、何かに踏み出すのにためらったりしていたら

    「あなたはいい人だよ」

    「あなたをわかってくれる人は、少なくとも日本に30000人いるよ」

    って、この本を渡しながら伝えたいですね^^

    久し振りに、本屋さんでたまたま出会ったいい本でした。こういうのが実店舗の本屋さんのいいところですね^^

    読者様方にもオススメの1冊です

  • 読書記録 朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」①

    読書記録「イン・ザ・メガチャーチ」①

    著者:朝井リョウ

    出版社:日本経済新聞社

    初版:2025年9月

    70回目の投稿になります

    ちょっと前に「50回目だー」とか言ってた記憶がありますが、気付いたら70回目でした^^

    初めまして様も、いつも来ていただいているあなた様も、ありがとうございます

    私、コツコツ継続する力が意外とあるのかもしれません

    あとは、一度「これ」と気に入った物や事があれば、それを生活の一部に組み入れる感覚もあります

    このブログ、マラソン練習、料理などはもうだいぶ習慣化されているので、なにか新しい事に取り組んでみようかと考えている今日この頃です

    相変わらず、生き急いでます^^

    さて、今回紹介する本は、朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」です

    今年の本屋大賞を受賞した本で、私もその報道をきっかけに読んでみた感じです

    以前、「正欲」も紹介しましたが、最近は朝井リョウにどっぷりハマっています

    「イン・ザ・メガチャーチ」は、ストーリーも面白いし、3人の登場人物の心情も共感できるし

    でも読み進めると共感とは別の恐怖感や孤独感なども襲ってきて、読み終わった時、少し息苦しい感覚に襲われました

    たぶん、2回にわたって書いてみる事になると思います^^

    さて、この本は、「推し活」を大きなテーマとしてストーリーが進みます

    1人は推し活を仕掛ける側の音楽会社社員。もう1人は推し活にのめりこんでいく女性。もう1人はかつて推し活にのめりこんでいた女性

    私が面白い(というか恐ろしい)と思った事を、キーワードで書いてみたいと思います

    1つ目のキーワードは「物語」です

    仕掛ける側は、アイドルとしてデビューするグループのパフォーマンスやビジュアルそのものよりも、その前後の物語を強く打ち出します

    「取り込みたい対象は、共感能力が高く、自他の境界が曖昧な気質の人である。それらの人は自己のアイデンティティを相手に重ね合わせ、その物語性に魅了されていく。そのような経緯で応援するファンは離れづらい」

    こういう事を、戦略的に仕掛けていくんですね

    私含め、誰もがなにかに「ハマる」時には、こういった仕掛ける側がいるという事が興味深くもあり、怖くもありといったところでした

    私もたぶん、相手の物語性に感化されやすい気質を持っていると思います

    相手との共通点を見つけた時には嬉しくなるし、頼られると頑張ってしまうタイプでもあると思います

    「じゃあ、そうならないように気を付けよう」で終わらないのが朝井リョウでした^^

    次へどうぞ

    もう1つのキーワードは「視野」です

    私は、視野とは広ければ広いほどいいと思っていました

    実際、日常生活を送る上では(または、社会規範に沿った形で生きていくためにはと言った方がいいかな)、視野の広さはポジティブな言葉として用いられると思います

    でも、この本では、推し活にのめりこんでいくときに、「視野を狭くする」という言葉が何回もでてきます

    広くするんじゃなくて、狭くする、です

    「物語に没入するというのは、視野が狭まるということでもある。だから、お金を使いすぎている、自分のためにはならないとわかっていても行動を変えることができない。心配して声をかける人を敵認定して遠ざける。そういう事に目を向けずに推し活にのめりこむ。」

    それを本の中では「自分を使い切る」と表現しています

    もう1つのキーワードは「信仰」です

    いかにお金を落とさせるか、経済的に身を滅ぼしかねないほどの推し活を、宗教になぞらえて次のように書いています

    「本質的には無意味、低価値、無関係なものを、仕掛ける側が発信する物語性によって信者を視野狭窄に陥れ、価値が高いと思い込ませて本来の価値以上の対価を支払わせる」

    そして

    「中毒症状がある方が苦しくないのだ人生は。ずっと我に返ったまま生きるには、この世界は殺伐としすぎている。自分を使い切っている人には、外部からのジャッジが一切通用しなくなる」

    「結局皆、信じるものが欲しいんです。孤独の中で信じられそうなものに出会った時、人はその対象に強い共感や感情移入を試みます。その結果、時間や労力、お金を注ぎ込むようになる」と続きます

    でも一方で

    「理由も目的もなく、ただ一緒にいられる人がほしい」

    「自分以外の誰かと1つの物事を同じ目線で見つめることができる時間というのは、すごく貴重なのかもしれない」

    という感情も持ち合わせている

    こうなってくると、読み進める私の情緒は不安定です^^

    読んでいてドキドキしてきます^^

    私、現代作家では、「この作家さんが好き」というのはあまりありませんでした。しかし、今は朝井リョウさんにハマってます^^

    あるアーティストを好きになったら、それが5枚目のアルバムだったりすると1~4枚目のアルバムも遡って聴いたりするじゃないですか(私だけ?^^)

    それと同様に、今は「桐島、部活やめるってよ」から順番に読み進めています

    あー、マジで時間足りない^^1日が26時間くらいあったらいいのに^^

    今回は引用が多く、うまく紹介できなかった気がします

    次回は、「イン・ザ・メガチャーチ」の主な登場人物の1人、武藤澄香に焦点を当てて、私のこれまでと重ね合わせてゲロ吐きながら(表現が良くない^^)書いてみたいと思います

  • 読書記録 萩原朔太郎「月に吠える」

    読書記録「月に吠える」

    著者:萩原朔太郎

    出版社:新潮文庫

    初版:1945年10月

    66回目の投稿になります

    最近、ヨルシカモチーフの作品を3冊読みました

    「月に吠える」「夢十夜」「風の又三郎」です(ヨルシカの曲のタイトルとしては、それぞれ「月に吠える」「第一夜」「又三郎」となっています)

    どれも、過去に読んだことのある作品でしたが、再読してみると以前とは異なる感覚で読めた気がします

    それはおそらく、現在の自分の心情、知識、経験、年齢などが過去の自分と変容しているからだと思います

    今回は、萩原朔太郎の詩集「月に吠える」を取り上げてみます

    私は、詩の味わい方を知りません^^実際、読んでも「?」となる詩の方が多かったですし、いいなと思う詩も、どこがどういう風にいいのかという言語化が難しかったです

    でも、萩原朔太郎自身が、この本の序文で次のように書いてくれています

    「すべての良い叙情詩には、理屈や言葉で説明することの出来ない一種の美感が伴う。これを詩の『にほひ』という」

    「私の詩の読者にのぞむ所は、詩の表面に表れた概念や『ことがら』ではなく、内部の核心である感情そのものに感触してもらいたいということである」

    「リズムは以心伝心である。そのリズムを感知することの出来る人とのみ、私は手を取って語り合うことができる」

    ありがとう朔太郎^^この序文のおかげで、いい悪いとか、共感できるできないとかそういう事じゃなく

    「なんか気になる」「うまく言えないけど印象に残る」といった観点で読み進めることができました

    例えば「群衆の中を求めて歩く」です

    『見よこの群衆のながれてゆくありさまを

    このひとびとの群は建築と建築との軒をおよいで

    どこへどうしてながれ行こうとするのか

    私のかなしい憂鬱をつつんでいるひとつのおおきな地上の日影

    ただよう無心の浪のながれ

    ああ どこまでもどこまでもこの群衆の浪の中をもまれて行きたい』

    私、最近、歯医者に行ったり人に会ったりするために札幌の中心部をよく歩きます

    この詩に触れた後に行き交う雑踏を見ると、見え方が全然違ったりして面白いです

    私、なぜかわからないけど、一人でいるときよりも、たくさんの人がいる環境の方が淋しさや孤独感を覚える感じがするんです

    この詩を読んでなんかそれを思い出しました^^

    例えば「強い腕に抱かる」です

    『風にふかれる葦のように

    私の心は弱弱しくいつも恐れにふるえている

    女よ、おまえの美しい精悍の右腕で

    私のからだをがっしりと抱いてくれ

    このふるえる病気の心を静かに静かになだめてくれ

    ただ抱きしめてくれ私のからだを

    ひったりと肩によりそいながら

    私の弱々しい心臓の上に

    お前のかわゆらしいあたたかい手をおいておくれ』

    これを作者は相手の女性に言葉にして伝えられたのかなあ、いや思うだけで伝えられなかったんじゃないかな、みたいに勝手に感じたのと

    私がすごく印象に残ったのが「ひったりと」と「かわゆらしい」です

    なじみのある使い方だと「ぴったりと」だと思うんですが

    「ぴったりと肩によりそう」だと、肩どうしがぎゅっとくっついている感じがしますが「ひったりとくっつく」だと、触れてはいるが

    ぎゅっと感がなく、密着の温度感が低い感じがします

    「かわゆらしい」も「かわいらしい」より少し控えめで儚い感じがします

    なんかそういう表現が好きな作品でした^^

    萩原朔太郎は、序文で、人間というものをこうとも表現しています

    「思うに人間の感情というものは、きわめて単純であって、同時に極めて複雑したものである。」

    「人間は、一人一人にちがった肉体と、ちがった神経をもっている。我のかなしみは彼のかなしみではない。しかし、それはまた、世界の何人にも共通なものである。この特異にして共通なる個々の感情に焦点を当てる。そのとき、永久に我々は孤独ではない」

    →たぶん大学生くらいに読んだ時には、よくわからなかったような気がしていますが、今は彼の言いたい事がよくわかります

    文章を書く人って、孤独について突き詰めていく作業をする人が多いのかな

    序文の終わりは、次のような文章で締めくくられます

    「月に吠える犬は、自分の影を怪しみ恐れて吠えるのである。疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のような不吉の謎である。犬は遠吠えをする。私は私自身の陰鬱な影を、月夜の地上に釘付けにしてしまいたい。影が、永久に私のあとを追ってこないように。」

    たぶんですが、ヨルシカの「月に吠える」の歌詞は、このあたりをメインに作られたのかなぁなんて思ったり

    私、以前、自由律俳句の尾崎放哉を紹介した時「尾崎放哉とは友だちになれそう^^」と書いたのですが、萩原朔太郎とも友だちになれそうです^^

    リアル世界の友だちも作ったら?と思いますが、まあそれはそれとして^^

    これを読んでからヨルシカの「月に吠える」を聴くと、また違った趣になりますね

    本の装丁もヨルシカコラボバージョンになっていていい感じです

    本屋さんのピックアップ本みたいに、正面をこちらに向けて本棚に置きたくなります