読書記録「あとかた」
著者:千早茜
出版社:新潮文庫
初版:2016年2月
62回目の投稿になります
最近、女性作家さんの本をよく読むようになりました。それまでは、「女性作家=内面のドロドロを描く」みたいな勝手なイメージで敬遠していました
私は、大変なお子ちゃまでした^^大いに反省しています^^
千早茜さん、以前「眠れない夜のために」という短編集を読みました。今回は2冊目です
すごくいい本でした
「あとかた」は、「ほむら」「てがた」「ゆびわ」「やけど」「うろこ」「ねいろ」の6つの短編からなる本です
そして、連作の形になっていて、それぞれの短編の主人公が別の短編でも登場します
ある話では一人称として、ある話では二人称として登場し、少しずつ相関がわかっていくような作りになっています
例えば千影さんという人物は、「やけど」では気高く自立した女性に見えるが、一人称視点での「ねいろ」では孤独で繊細な女性として描かれていたり
視点の変化が楽しめる小説にもなっています
私は、「やけど」が印象的でした
スミマセン、少し内容に触れます
サキという名の家出をしてきた女の子の話です
付き合う男に様々な傷をつけられ、それをSNSにアップする
「くれるものはなんだって受け入れる」と、優しさやお金やプレゼントだけでなく、暴力やセックスや束縛もちゃんと受け入れる
同級生の松本や、アイリッシュパブで出会った千影さんに出会うことで少しずつ感情が変化していくというストーリーです
最後、千影が吸っている煙草を取り上げて、自ら手の甲に火を押し付ける場面があります
それを彼女は、「生まれて初めて自分でつけた傷、この痛みを抱えて生きていく」と言います
私の説明力がないためあまり伝わらないと思いますが^^読んでいてドキドキというかゾクゾクします
私でいうと「この本を読むと、あの人を思い出す」みたいな事と近いのかな
しかも自分の体についた傷だから、いつなん時でも見ることができる
はたから見たらそれは「痛そうな傷」だけど、本人にとっては「消える事のない愛情や信頼の証」みたいな感じなのか
「共感できる・できない」みたいな評価を簡単に下せないというか、下さない方が読後感がいい本だなと思います
登場人物それぞれが心に重みのようなものを抱えていて、理性と欲、劣等感とつながりたい気持ちなどが複雑に混ざり合っていく
本のタイトルが「あとかた」なのも、読み終わった後ではしっくりくる気がします
人は、何も遺していないと思っても、何らかの痕跡を相手に遺しているのではないか
もしそうなら、素直に自分をさらけ出した方が、相手の中に「あとかた」として濃く遺るのかななんて思ったりしました
手の甲に煙草の火を手の甲に押しつける度胸はなさそうだけど^^もうちょっとライトなやつで痕跡遺してみようかな^^
各話40ページほどで、量的にも読みやすいです