読書記録「最後の医者は桜を見上げて君を想う」
著者:二宮敦人
出版社:TOブックス
初版:2016年11月
155回目の投稿になります
今回は本の紹介です。「最後の医者は桜を見上げて君を想う」です
病院が舞台の作品です
作中には、福原さん、桐子さん、音山さんという3人の医者が出てきます。3人のキャラがそれぞれ個性的で、そのやり取りのおもしろさが読むペースを上げます
最初は桐子さんの考え方をおもしろく読みました
桐子さんは、合理的な考えを良しとする人で、余命わずかとわかった患者に対し、どう死にたいか、治療を諦めて残りの期間を有意義に過ごすべきではないかと伝えます
家族に対しても、真剣にその死に向き合うべきだと言い、抗がん剤治療をやめるのも手だと伝えます
そういう中で、死が早まったとしても家に帰るという選択をした患者の「俺は降りる。降りる事は逃げる事じゃない」という言葉はとても重みがあるなと思いました
そして、音山さんです。合理的な桐子さん、手術の腕が抜群で最後まで患者を救う事を信条とする福原さんに対して地味な印象です
ですが、私が一番感情移入したのが、この音山さんです
音山さんは、「福原ほどの腕もない、桐子ほどの信念や哲学もない」と、自身の医師としての適性に疑問を持ちながら仕事をしていますが、ALSにかかってしまった女子大生まりえさんという女性患者の担当をする事で、彼女から自分の良さに気付かされます
患者のまりえさんは、音山さんの良さを
「一緒に悩んでくれること」と言いました
これが、私がこの作品で一番刺さった部分です
その人の課題を解決する事、考え方や方針を示す事は、医師としてとっても大事な事だと思います
一方、「一緒に悩む」事は、それら2つに比べれば大した事ではないように思われます
でも、つらい時に寄り添ってくれて、黙って背中をさすってくれるような事が、その人の支えというか立ち上がるきっかけになったりするかもしれません
私も、自分が停滞していたり、少し気が滅入っているなと思ったりする時は、「○○すべきだ」という様な自己啓発本よりも、「こんな良い月をひとりで見て寝る」みたいな詩集とかに、じんわりとしたエネルギーをもらう事が多いです^^
また、一緒に悩む事をその人の良さであると感じ、伝える事のできる患者のまりえさんも、素敵な感性を持った魅力的な人だなあと思いました
私も、人から相談される事はあるんですが、どうもアドリブが効かなくて、その時はあまりいい事言えないんですよね^^
その人と別れた帰り道とかに「あれって、こういう風に伝えれば良かったなぁ」とか思うタイプです^^
でも、そういう私でも、真摯に話を聞くとか、うまく解決策を示せなくても一緒の空間にいるとか、それだけで伝わる事もあるかもなあとかこの本を読んで思えました
ストーリーは、病気の発覚やその進行、死へ向かう感情の変遷など、小説っぽい流れだなと思うところもありますが、出てくる登場人物がみなさん魅力的でおもしろい作品でした
人から借りた本でしたが、自分では手に取らなさそうな本で、そういう意味でも良い出会いでした
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