読書記録「正欲」
著者:朝井リョウ
出版社:新潮文庫
初版:令和5年6月
46回目の投稿になります
今回は朝井リョウさんの「正欲」です
朝井リョウ。名前は知っていたが作品を読んだ事はありませんでした
先日、ニュースで「イン・ザ・メガチャーチ」が本屋大賞を受賞したと知り、本屋へ
で、結局買ったのが「正欲」でした^^
500ページくらいありますが、久しぶりに一気読みでした。読み終えたら午前3時半でした^^
特に終盤の100ページくらいは、自分の価値観が殴られ続けるような感覚でした。拙いですが、自分なりの感想を書いてみたいと思います
作中には、特殊な欲や性癖をもつ人たちが出てきます。ただ、「特殊である」とされるのは、その欲が社会的に少数派だからであるというだけではないのか
「女性の胸に興奮する」は、社会的に認められる性癖だが、「水しぶきに興奮する」は、何それ気持ち悪いとなる。では、後者のような性癖を持つ人間は、歯や視力のように矯正されなくてはいけないのか
「幸せの形は人それぞれ」「多様性の時代」「自分に正直に生きよう」
これ、たぶん、私がこのブログを始めた理由の多くを占めています
それを、作者は次のような言葉で私を斬りつけてきます
「でも、キチガイは迷惑じゃ」
マーライオンのように人が嘔吐する様子に興奮する嘔吐フェチ、対象が何者かに丸呑みされる様子に興奮する丸呑みフェチ、小さい子の裸に興奮する児童性愛、ミイラのように拘束する・される事を好むマミフィケーションフェチ
これらは、胸が好き、お尻が好きという性癖となにが違うのか
欲という意味では公平であるべきではないのか
そんな問いを投げかけられているような気がします
佐々木佳道、桐生夏月、諸橋大也。それぞれの思いがすごく突き刺さったし、読み始めは「共感」のポジションで読んでいた私も、実は多数派側だったのではと何度も揺さぶられました
「マジョリティは信念がある集団ではない。マジョリティであるが故に自分自身と向き合う機会は少ない。信念がない人ほど『多数派である自分たち側に相手を正そうとする』行為に行きつく」
「夏月の事はほとんど何も知らない。夏月も自分の事をほとんど知らない。ただ、お互い絶対誰にも知られたくない事だけを、だけど確実に自分の思考や哲学の根にあるものだけを、握り締め合っている。心臓を掴み合っている。地球上でたった一人の相手。」
人生や孤独について何度も何度も揺らされます^^
私はその中でも、水の形状変化に性癖を持つ諸橋大也という人物に、とても共感を覚えました
高校生でも、大学生になっても男が徒党を組みたがることに辟易する様子は、よくわかりますね
男が集まると、ずっとセックスの話をしている。あいつとやった、何回やった、何分やり続けた。そういう中で、自分の話す番が回ってこないように気配をいかに消すかに心を砕く様子も痛いほどわかります
彼が悩みながら至る「多数派であるという事に安住し、自分という個体について考える機会がないのは、一つの不幸でもあるのかもしれない。自分はその分、自分が個人としてどうありたいかという事について明確な意志を持っており、それは幸せなのかもしれない」という思いは、なるほどなと思わされました
水に興奮を覚える人たちとSNS上でつながることを、彼らは「網」と表現します
網を、誰かや社会に覗き込まれたら笑われてしまうような事を共有できる関係性としています
しかし、諸橋くんに共感して読み進めると、「お前はあくまで『色々理解してます』に偏った側の人間なんだよ」と言い放たれます
この言葉は彼を理解しようとする同級生に放たれる言葉ですが、私自身に言われているような錯覚を覚えます
少し作品から離れますが、私の性癖について書いてみます(急なカミングアウトどうした?^^)
私は「重みフェチ」です^^もう少し詳しく言えば「寝るとき重みフェチ」です。かけ布団を極力重くしないと落ち着きません
たぶんあなたが想像するより重くしてます^^タオルケットの上にかけ布団、その上に毛布かけます。そこまではまあわかりますよね。そこから私、その上に敷き布団乗せるんです^^それでも足りないくらい^^つぶされるんじゃないかというくらいの重さと圧迫感を感じると落ち着くんです
だから、旅行でホテルとか泊まると、掛け布団が軽すぎて寝れないことがあります^^
ここまで書いて気付きましたが、そういえば、このブログ、リアル世界で知っているお友だちが1人だけいました^^その方がこれ読んだらドン引きじゃないだろうか…大丈夫だと思うけど^^
でも、これももしかしたらこういう場で発信できる程度の性癖と自分で判断しているとすれば、もっと言えない性癖を抱えているのかもしれません
作品を読み終えて、あなたの欲もそれで大丈夫だよと伝えてくれているような気がして、うまく言い表せない安心感がありました
すべての人に優しく手を差し伸べてくれるような作品だと思います
最後に、私がすごく心に残ったセリフを2つ紹介して終わります
1 「皆もともとたった独りで、家族とか友人とかがいる期間を経て、また独りに戻るだけ」
2 同じ性癖同士、手を組む形で結婚した佳道と夏月。その性癖で逮捕された佳道に対し夏月が取り調べの検事に言う
「いなくならないからって、伝えてください」
「いなくならないから」って、シンプルだけどすごく素敵な言葉だと思いました。目線が長期に向いていて、関係性を長く続けていきたいという感じもいい。言われたらすごく安心すると思うし、大切な誰かに伝えたい言葉でもあると思いました
読了した翌日、「イン・ザ・メガチャーチ」買いに行きました^^
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