読書記録「懶惰(らんだ)の歌留多」
著者:太宰治
出版社:角川文庫
初版:昭和45年12月
42回目の投稿になります
今回は太宰治の中編「懶惰の歌留多」です
表紙は「走れメロス」で、太宰中期の9作が収録されている中の1つです
小説というよりエッセイに近い内容になっていると思います
他には表題「走れメロス」の他、「富嶽百景」「東京八景」などがあり、太宰の一番調子のいい(と言ったら怒られる?^^)時期の作品集です
その中で、なぜ「懶惰の歌留多」かと言うと、とにかく太宰がカワイイからです^^
「懶惰(らんだ)」とは、「怠ける」の意で、太宰はこの作品の中で自らの怠惰を嘆き続けます^^
ホントに、最初から最後まで嘆き続けます^^
書き出しから既に「私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は怠惰である。これはもう疑いをいれない。こと、怠惰に関しては、私はほんものである。」だって^^
魚は骨があって食べるのがめんどくさいから嫌いとか、豆腐は食べるのが簡単だから好きとか^^そんな話が続きます
おそらくこの時の太宰は締め切りに追われているのでしょう。「かるた」という枠を設定し「いろは~」の順に思いつくことを書いていきます
い…生くることにも心せき、感ずることも急がるる
ろ…廊下は暗い
は…母よ、子のために怒れ!
のようなタイトルを付け、取り留めもない感じで書いていきます(すでに2つ目の「廊下は暗い」の時点でちょっと面白い。ちょっと自由律俳句みがある^^)
で、最初のうちは頑張って書いているのですが、だんだんと適当になっていくのがこれまた面白いです^^
そして、最後は
わ…われ山にむかいて眼を挙ぐ
か…下民しいたげ易く、上天あざむき難し
よ…夜の次には朝が来る
と、タイトルだけ書いて急に終わります^^
締め切りに間に合わなかったか、とりあえず文字数は埋まったのかはわかりません。出版社の担当さんに怒られている太宰を勝手に想像してしまいます^^
ちなみに最後の記述は
「もう四、五日余裕があれば。今日あたりはぎりぎりの締切日なのであろう。私はどんなことがあってもこの原稿を印刷所へ届けなければいけない。こんな苦しい思いをするのも、つまりは日常の怠惰の故である。こんなことでは確かにいけない。もって自戒とすべし」
となっています^^
これを読んだ担当さんの気持ちを想像するだけで笑えてきます
近代文学が「難しそう」とか「とっつきずらそう」とか思って読まない人には、ぜひこれを読んでほしいですね
太宰ってイコール「人間失格」とか「斜陽」のイメージが強いのか、「暗くて難解」みたいな感じで思われすぎているように思います
「懶惰の歌留多」読んだら、太宰カワイイってなると思うんだけどな^^
ページ数も30ページ程度。ケラケラ笑える近代文学、いかがですか?
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